謎の機種 "JR.300"


JR.300 って?

以下に示すのが発売されたかどうか定かではない,National JR.300 である. このページの情報は昭和58年10月現在のカタログを元にしている. 運よくカタログは保持しているが,実物を見たのはある電気店(しかしケースだけ) と阪神百貨店のショールームの展示(しかし動いていない)の2回だけである. 当時のショーで展示されかなり印象的だったらしいが, その場にはいなかったので確認していない.

JR-200 ユーザ,X1 ユーザ が見ればよく分かると思うが,どう見ても両方を つなぎ合わせたような仕様である.しかし,X1 のライセンスがあったわけでも なかったので,どうしても TV とパソコンをつなげたくてこういう仕様に なったのではないかと思われる. (電産:TV事業部と通信:情報システム事業部の合作?)

どうも当時は"ニューメディア"という言葉が流行ってたらしい. このころにMSX がでてきて,変なMSXつきビデオテックス端末が登場したのだろう (CAPTAIN system?).

謎のスペック

カタログスペックはこちら. (カタログの表にJR-200 に存在する機能,X1 を参考にした機能について それぞれ印をつけておく)

CPU)
だれが名付けたか知らないが,JR-200 のメイン/サブCPU がそれぞれ JR-300 の サブ/ローカルCPU となっている.
RAM)
この仕様では,JR-200 互換モードで起動(多分IPLで別起動と思われる)すると, G-RAM は全く使えないように見える. しかし,CPUが同時に動作したのだろうか(バス調停を考えたらやってられんが). コモンRAM というのがどうも気になる. CPUが同時に動作して,G-RAM が 6802 側から使えてたら,間違いなくJR-200 を 買い替えていただろう(しかし販売形跡がない).
RAM)
新機能のグラフィック表示に 640×400(単色) がある.当時はこの価格帯は 普通ディジタルRGB 15kHzのディスプレイなので,インターレスを駆使して, X1turbo よりも先に漢字表示させようとしていたのだろうか(別売り漢字ROMもあるし).
ROM)
BASIC は基本コマンドが全てJR-BASIC(5.0)であり,Z-80A モードでは 拡張BASIC(TV,音楽,グラフィック) となっているようである. また,サブCPU の 16K I/O ROM は FD-BASIC(5.3) と予想できる. JR-200 では FD の 外づけI/F に 16KB RAM があったので,間違いない. (JR-300 では FD は直結)
ROM)
不幸にもモニタはあの使いにくいJR-200のと同じらしい.
:ここで言うモニタとはBASICとは異なるモードで,メモリの書き込み,16進表示, 実行ができるROM内のルーチンを指す(当時はデバッガ機能などない).
etc)
音楽関係は AY-3-8910(PSG), RS関係は受注だったJR-200仕様, カセットはJR-200 そのまま,キーボードはX1c のあの感触らしい.

結局のところ...

JR.300 は販売されていないはずである. どういう経緯で販売に至らなかったのかは不明であるが,コンセプトがあまりにも中途半端で, JR.200 を発展させなかったと言う意味では,発売されたとしても, 使えなくなった消しゴムキーボードの代替機でしかなかったかもしれない.


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