Mac を初めて見たのは,1985 年頃の日本橋にてである.それまで Apple といえば, Broaderbund の 一連のゲームが楽しめる Apple II と 新デザインの Apple IIc のイメージだった. 最初に見たのは Plus と SE/30 である.コンパクトな本体にマウス,Window System, と当時としては珍しく,明らかに国産のマシンにはないインパクトがあった.
この後登場したのがMac IIである.表示価格は 1,000,000 円.それ以降は Mac == 超高額マシン という位置づけとなっていった. この頃はパソコンを道具として使う,という感覚は全く無く,将来はこういう GUI が主流に なるんだろうなぁ,程度にしか思わなかった(もちろん当時の主流はBASIC). マウスともなると国産では京セラ製(NEC)PC-100 くらいだったから, 主にCADに使うものだと思い込んでいたものである. さすがに日本はまだエンゲルバードやアランケイの声の届くところではなかった.
その後,数年経ち,パソコンをプログラミングマシンだけでなく,道具としての位置づけを理解し始めた頃, 1991年に店頭で中古の IIsi を発見.何日か考えた末に購入した.398,000 円である(定価は 748,000円). IIsi はデザイン的にはいい部類だが,スロットや FPU を持たず,拡張のためにはキットが必要となる, 厄介なマシンであった.
しかし厄介とはいえ,これで晴れてMac貧乏の仲間入りである.究極の貧乏として,本体だけ買ったので 表示できる CRT が手元にないという 無謀な買いものをしてしまった.どうすればいいのか考えた挙げ句, Mac の 640x480 (Apple 13inch モード) が VGA とは異なるが,31kHz であることを確認し, CZ-602D(X68のディスプレイ)に無理矢理繋ぎ,なんとか表示させていた。 横が切れて左のアップルマークが見えない.よくこんな環境で使っていたものだ.
初めての Mac でいきなり System 7 +GomTalk という特殊環境である. もちろん,カラーアイコンに感動したから,というのが導入の理由であるが, この頃から SadMac を沢山発生させていた.GUI 環境のもろさを体感したわけである. また,外国からの Freeware が沢山手に入り,x68 とは違う世界を真の当たりにした.
しかし購入2ヵ月後,Apple は安売り路線に転換する.新品で60〜70万で販売していたスペックのマシンを 30万円台で投入して来たのである.デザインは地に落ち,金属キョウ体を採用し,外側は PC に近付きつつあった. といってもまだ DOS/V の攻勢は始まってなかったはずだが.
最新の OS,漢字Talk7.1 がリリースされ,速度では問題なかったが, メモリやNuBusの拡張バスの少ないIIsi は今後のことを考えると心配だった. 現に,Quadra などのように NuBus にカードをいくつも差して拡張するのが, この頃の Mac の特徴であった.
結局,デザインや速度より拡張性を取るため(なんでこんなことを...)IIsi を売却して, IIviを新品で購入.もちろん ニセ漢字環境ではなく,本物の 漢字Talk7.1 が付いてきた (それもフロッピー40数枚). しかし,このOSの重さは 030/16MHz などというスペックでは耐えられず,VRAMも少ないために かなり苦しい目にあった.クロックアップも考えたが、IIvx(33MHz)との違いがクロックではなく, ASICで決められていることが分かったので,もはや諦めていた. 確かに拡張性を取ったのだから,拡張するなりすればいいのだが,カードを買うととんでもない 値段になるのは目に見えていた.
Quadra,Performa シリーズの台頭,PowerPC 採用の発表,と横目で見つつ,我慢して何年か使っていたが, そこへ突然,LC630(8M/230MB/CD)が発表された. 唯一 Mac らしさを残したLC シリーズの最終機種である.LC とはいえすでに IIvi とは話にならない スペックになっていたので,買い替えることにした. 040/33MHz なので速度もそこそこで,当時としては厳しいことを押しつけなければ快適に使えるスペックである.
数ヵ月後,LC630(12M/350MB/CD)が登場し,OSがKT7.5となった. その上キャンペーンでキャッシュバック,ソフト11本までついてくるという, いきなりのショックである.
しかしここである作戦を思い付いた.一度手持ちのLC630を売却し, 買い替えてキャッシュバックを利用すれば,少しの差額でKT7.5,メモリ4M,HDD120MB,ソフト11本を 手に入れることができるのだ.
現在は,ビデオシステムとLANカードを拡張し,Clock を 40MHz にしている. PowerCard 601 (10万)を載せる話や Performa 6310 へのアップグレードもあったのだが, 今となっては Mac 上ではスペックを要求する仕事をしていないので, 名機となった LC630 を所有するに至っている.
※ 気持的には PowerCard 601 を載せてMkLinux をしたかったのだが,PPC601には対応しないとあった.無念.
メーカー | 型番 | コメント | |
---|---|---|---|
本体 | Apple | Macintosh LC630 | MC68LC040-40MHz 駆動,20MB RAM,IDE 350MB,Apple CD 300i,FDD,マウス |
キーボード | Apple | Apple Keyboard (E;初代) | カーソルキーを vi 配置済 |
NIC | Apple | CS Ethernet Card | 10Base-T,CS スロット用 |
ビデオ | Interware | Video System | Apple ビデオシステム互換カード |
チューナ | Apple | TV/FM radio System(E) | TV チューナ+FMラジオチューナ |
外付HDD | Quantum | Lightning 730S | 余り物をケースに入れて接続 |
モニタ | SHARP | CZ-602D | X68000 ACE-HD と共有.このモニタでは映るはずのないVGA モードで接続 |
OS | Apple | MacOS 8.0-J / 7.6.1-J |