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[RPi] Pi Zero W

Raspberry Pi 3 を入手して間もないですが、海外通販にて Pi Zero W を入手しました。PIROMONI にて注文掛けていたのですが6日で無事到着しました。Anniversary 期間に間に合ったので £10 で入手でき(通常は £12)、せっかくなので Pibow ケースや Speaker pHAT も追加しました。送料は £5.5 です。

SoC は RPi 無印と同じ BCM2835 で ARM1176 コア、RAMは 512MB の Elpida チップが SoC 上にボンディングされています。外部端子は micro USB(OTG)、mini HDMI、micro SD カード、GPIO ピン、と RPi の互換を保ちながら最小構成でできています。Pi Zero W ではさらに Wi-Fi と Bluetooth が内蔵されています。

まずは動作確認

Raspberry Pi 3 の入手ですでにイメージは micro SD カードに作成済なので、移し替えるだけです。ただ外部端子が mini HDMI と micro USB なので、ディスプレイやUSBキーボードを接続するにはそれぞれ変換ケーブルが必要になります。

ネットワークへの接続は Ethernet がないので Wi-Fi を使用します。通常 wpa-supplicant の設定が必要ですが、とりあえず動かすなら GUI で設定した方が楽です。

$ dmesg
[    0.000000] Booting Linux on physical CPU 0x0
[    0.000000] Linux version 4.9.35+ (dc4@dc4-XPS13-9333) (gcc version 4.9.3 (crosstool-NG crosstool-ng-1.22.0-88-g8460611) ) #1014 Fri Jun 30 14:34:49 BST 2017
[    0.000000] CPU: ARMv6-compatible processor [410fb767] revision 7 (ARMv7), cr=00c5387d
[    0.000000] CPU: PIPT / VIPT nonaliasing data cache, VIPT nonaliasing instruction cache
[    0.000000] OF: fdt:Machine model: Raspberry Pi Zero W Rev 1.1
...

Pibow ケースの組み立て

今回 Pibow ケースを同時に入手しました。積層型のパーツがボードを囲む形で見た目に面白いです。組み立てに取り掛かる前に PIROMONI ページで組み立て方を確認しておいた方がよいかと思います。たぶん確認しないとどの順番で積むのかよく分かりません^^;

GPIO ピン部分はくりぬかれていて pHAT に合わせてあるため、ケースを付けたまま pHAT を取付けられます。外部端子は干渉しないコネクタを選ぶ必要がありますが、ケースのまま取付けられます。残念ながら micro SD カードの入れ替えだけは一度ケースをばらす必要があります。

Speaker pHAT の組み立て

Speaker pHAT はパーツで提供されているので、assembly guide に従って組み立てます。pin ヘッダとスピーカへの配線は半田付けが必要です。

Speaker pHAT を使うためにはいろいろパッケージを導入する必要がありますが、PIROMONI で用意されているスクリプトを本体から直接実行することで全て導入することができます。

# curl -sS https://get.pimoroni.com/speakerphat | bash

alsa device としては default の hw:0,0 で見えています。aplay を使って音出しの動作確認ができれば OK です。LED メータも同期して光ります。mp3 など PCM 以外のフォーマットはデコードする必要があるため、mpg321 などのデコードできるプレーヤーを導入します。

# aplay /usr/share/sounds/alsa/Front_Center.wav

 

[RPi][Linux] U-boot から Linux boot

U-boot を RPi3 に導入して、ビルドした mainline Linux kernel を起動してみました。RPi は 既存の bootloader が提供されているので、SDカードの FATパーティションに kernel image を置けば起動するのですが、ビルドした kernel を直接投入するには network 経由で起動したくなるものです。

clone & build

U-boot を clone してビルドします。

$ git clone git://git.denx.de/u-boot.git
$ cd u-boot
$ make ARCH=arm64 CROSS_COMPILE=aarch64-linux-gnu- CONFIG_EFI=y rpi_3_defconfig
$ make ARCH=arm64 CROSS_COMPILE=aarch64-linux-gnu-
$ cd -

Linux kernel を clone してビルドします。

$ git clone git://git.kernel.org/pub/scm/linux/kernel/git/qemu.org/torvalds/linux.git
$ cd linux
$ make ARCH=arm64 CROSS_COMPILE=aarch64-linux-gnu- defconfig
$ make ARCH=arm64 CROSS_COMPILE=aarch64-linux-gnu- Image dtbs
$ cd -

tftp サーバを用意します。手順は省略しますが、ここではサーバディレクトリを /tftpboot とします。kernel image と devicetree を tftp サーバへコピーします。

$ cp linux/arch/arm64/boot/Image /tftpboot/
$ cp linux/arch/arm64/boot/dts/broadcom/bcm2837-rpi-3-b.dtb /tftpboot/

ここでは Linaro が提供する rootfs image を取得して tftp サーバへコピーします。取得する image は initramfs の uboot で読める形式で、armv8 のものを選択します。

$ wget http://releases.linaro.org/openembedded/images/minimal-initramfs-armv8/latest/linaro-image-minimal-initramfs-genericarmv8-20170127-888.rootfs.cpio.gz.u-boot
$ cp linaro-image-minimal-initramfs-genericarmv8-20170127-888.rootfs.cpio.gz.u-boot /tftpboot/rootfs.cpio.gz.u-boot

SD カードを host PC に接続し、パーティションを作成して FAT でフォーマットしマウントします。フォーマットまでは Windows で用意してもよいです。ここでは SD カードは /dev/sdX で認識されたものとしますが、dmesg などで確認して間違えないように注意してください。

※ パーティション分割やフォーマットについての詳細は他の解説にお任せします。情報は Web で探すと出てくると思います…。

$ sudo fdisk /dev/sdX
...
(パーティションを作成)
...
$ sudo mkfs.vfat -v -c -F 32 /dev/sdX1
$ sudo mount -t vfat /dev/sdX1 /mnt

github で提供されている firmware を clone して SD カードにコピーします。

$ git clone git://github.com/raspberrypi/firmware
$ cp -a firmware/boot/* /mnt/

u-boot image をSDカードにコピーし、boot 設定ファイルを作成します。

  • arm_control=0x200 を指定すると arm64 モードで起動するようになります。
  • enable_uart=1 で GPIO 端子上の Serial を有効にします。Linux では ttyS0 として見えます。
  • kernel=u-boot.bin は起動する image のファイル名を指定します。default は(arm64モードの場合) kernel8.img です。

詳しくは RPiconfig にいろいろ解説があります。

$ cp u-boot.bin /mnt/
$ cat > config.txt <<EOF
arm_control=0x200
enable_uart=1
kernel=u-boot.bin
EOF

マウントを解除して SDカードを PC から外し、RPi3 本体に挿入します。

$ sync
$ sudo umount /mnt

console は Serial を使うため、GPIO 端子から 接続する必要があります。今回は手持ちの FTDI chip 搭載の TTL-232r-3v3 を使用しました。RPi 初代でも使っていた USB-Serial 変換ケーブルです。直接接続できないので、GPIO 端子を 40pin リボンケーブル(余っていた IDE ケーブル!) を介しています。

※ RPi3 の接続端子の詳細は他の解説にお任せします。情報は Web で探すと出てくると思います…。

また、Ethernet ケーブルで host PC との接続も行っておきます。当たり前ですが、ストレートケーブルは直結できないのでローカル LAN などに接続することになりますので、ローカル LAN の IP アドレス情報は知っておく必要があります。

電源を入れると serial に U-boot のログが出ます。一旦キーを押して止めます。

U-Boot 2017.07-00001-g13e3ef2 (Aug 13 2017 - 23:46:40 +0900)

DRAM:  944 MiB
RPI 3 Model B (0xa32082)
MMC:   sdhci@7e300000: 0
reading uboot.env
In:    serial
Out:   vidconsole
Err:   vidconsole
Net:   No ethernet found.
starting USB...
USB0:   Core Release: 2.80a
scanning bus 0 for devices... 3 USB Device(s) found
     scanning usb for storage devices... 0 Storage Device(s) found
Hit any key to stop autoboot:  0
U-Boot> 

ネットワークの設定を行います。ipaddr に target(RPi3) の IP アドレス、serverip に tftp サーバを立ち上げた host PC の IP アドレスを指定します。以下は手元で行った例ですので、自分の環境に合わせて設定します。

U-boot> setenv ipaddr 192.168.1.200            # target(RPi3) の IP アドレス
U-boot> setenv serverip 192.168.1.135          # tftp サーバの IP アドレス
U-boot> setenv netmask 255.255.255.0
U-boot> setenv bootargs root=/dev/ram0 rw console=ttyS0,115200

tftp で kernel image、devicetree、rootfs image をメモリへ転送し、kernel を起動します。

U-Boot> tftp 0x80000 Image
U-Boot> tftp 0x08000000 bcm2837-rpi-3-b.dtb
U-Boot> tftp 0x08008000 rootfs.cpio.gz.u-boot
U-Boot> booti 0x80000 0x08008000 0x08000000

以下のように起動が確認できました。

Starting kernel ...

[    0.000000] Booting Linux on physical CPU 0x0
[    0.000000] Linux version 4.13.0-rc4 (kunih@ubuntu) (gcc version 6.3.1 20170404 (Linaro GCC 6.3-2017.05)) #1 SMP PREEMPT Fri Aug 11 11:06:59 JST 2017
[    0.000000] Boot CPU: AArch64 Processor [410fd034]
[    0.000000] Machine model: Raspberry Pi 3 Model B
...
[    2.229403] Freeing unused kernel memory: 1088K
linaro-test [rc=0]# 

RPi の Ethernet Host は USB で接続されているようですが、現時点での kernel では USB(dwc2) の DMA に問題がありエラーで認識しませんでした。contribute が少ないためか device の mainline への対応はまだまだのようです。

参考

[QEMU] Hello world on QEMU

QEMU で Hello world を動かす試みは探してみるといくつか実施されています。

いずれも versatilepb モデルで実施されているので、vexpress や virt でもできるかどうか試してみました。toolchain は Linaro toolchain を使いましたが、外部関数を呼び出さないので baremetal toolchain でなくても使えます。

プログラムソース init.c、スタートコード startup.s、リンカスクリプト link.ld を用意します。

init.c は “Hello, world!” を一文字ずつ UART I/O に書き込むだけのプログラムです。

/* init.c */
static void print(const char *str)
{
	while (*str)
		*(volatile unsigned char *)UART0_PTR = *str++;
}
int init()
{
	print("Hello, world!\n");
}

link.ld は外部定義された START からセクション定義を行います。スタックを 0x800 byte 分空けて スタックポインタの開始位置 sp_top を定義します。

/* link.ld */
ENTRY(_start)
SECTIONS {
	. = START;
	startup : { startup.o(.text)}
	.data   : {*(.data)}
	.bss    : {*(.bss)}
	. = . + 0x800;
	sp_top = .;

vexpress(aarch32) の場合

aarch32 とaarch64 で命令体系が変わるので、startup.s はそれぞれのものを用意します。aarch32 向けはスタックポインタに直接 sp_top を設定して init 関数を呼び出します。最後は無限ループです。

/* startup.s */
	.global _start
_start:
	ldr	sp,=sp_top
	bl	init
	b	.

vexpress-a9 モデルの場合のビルド・実行例です。UART0 I/O と SDRAM がモデルで異なるので、コマンドラインで設定しています。

$ arm-linux-gnueabihf-as  -mcpu=cortex-a9 -o startup.o startup.s
$ arm-linux-gnueabihf-gcc -mcpu=cortex-a9 -c init.c -DUART0_PTR=0x10009000
$ arm-linux-gnueabihf-ld -T link.ld -defsym START=0x60010000 -o output.elf startup.o init.o
$ arm-linux-gnueabihf-objcopy -O binary output.elf output.bin
$ qemu-system-aarch64 -M vexpress-a9 -cpu cortex-a9 -nographic -kernel output.bin
Hello, world!

vexpress-a15 モデルの場合は以下のようにします。

$ arm-linux-gnueabihf-as  -mcpu=cortex-a15 -o startup.o startup.s
$ arm-linux-gnueabihf-gcc -mcpu=cortex-a15 -c init.c -DUART0_PTR=0x1c090000
$ arm-linux-gnueabihf-ld -T link.ld -defsym START=0x80010000 -o output.elf startup.o init.o
$ arm-linux-gnueabihf-objcopy -O binary output.elf output.bin
$ qemu-system-aarch64 -M vexpress-a15 -cpu cortex-a15 -nographic -kernel output.bin
Hello, world!

virt(aarch64) の場合

aarch64 向けのスタートコード startup64.s を用意します。sp は直接代入できないので、x0 を間接的に使います。

/* startup64.s */
	.global _start
_start:
	ldr	x0,=sp_top
	mov	sp,x0
	bl	init
	b	.

virt モデルの場合の実行例です。toolchain は aarch64 のものを使います。

$ aarch64-linux-gnu-as -mcpu=cortex-a53 startup64.s
$ aarch64-linux-gnu-gcc -mcpu=cortex-a53 -DUART0_PTR=0x09000000 -c init.c
$ aarch64-linux-gnu-ld -T link.ld -o output.elf startup64.o init.o
$ aarch64-linux-gnu-objcopy -O binary output.elf output.bin
$ qemu-system-aarch64 -M vexpress-a53 -cpu cortex-a53 -nographic -kernel output.bin
Hello, world!

上記のソースは Makefile を使う形で github に置く予定です。

[QEMU][Linux] boot Linux from U-boot on QEMU

U-boot on arm QEMU にて QEMU で U-boot を立ち上げて 外から tftp でメモリに転送しました。次にビルドした Linux kernel を転送して起動してみます。

Linux mainline の repository から clone してビルドします。

$ git clone git://git.kernel.org/pub/scm/linux/kernel/git/qemu.org/torvalds/linux.git
$ cd linux
$ make ARCH=arm CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf- multi_v7_defconfig
$ make ARCH=arm CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf- zImage dtbs

ビルドでできたイメージファイルを tftp サーバのディレクトリ (/tftpboot) にコピーします。

$ cp arch/arm/boot/zImage /tftpboot/
$ cp arch/arm/boot/vexpress-v2p-ca9.dtb /tftpboot/

root ファイルシステムを用意します。busybox で作るのが楽ですが、ここでは Linaro が提供している最小構成イメージを使うことにします。サイトから U-boot で読める形式のものをダウンロードします(時期によりファイル名が変更されるので先に web で確認してください)。

$ wget http://releases.linaro.org/openembedded/images/minimal-initramfs-armv7a/latest/linaro-image-minimal-initramfs-genericarmv7a-20170127-460.rootfs.cpio.gz.u-boot
$ cp linaro-image-minimal-initramfs-genericarmv7a-20170127-460.rootfs.cpio.gz.u-boot /tftpboot/rootfs.cpio.gz.u-boot

U-boot on arm QEMU  の手順で U-boot を起動します。起動したら、ネットワークの設定を行います。

=> setenv ipaddr 192.168.1.200     # target(QEMU) の IP アドレス
=> setenv serverip 192.168.1.1     # tftp サーバの IP アドレス
=> setenv netmask 255.255.255.0

bootargs に Linux の command line を設定します。

=> setenv bootargs root=/dev/ram0 rw console=ttyAMA0

tftp で先ほどサーバに置いたファイルの転送を行います。vexpress-a9 は 0x60000000 から SDRAM が実装されています。しかし先頭は kernel の実際の配置先に使用されるため、少し離して配置します。devicetree と rootfs も衝突しない場所に配置します。

=> tftp 0x62000000 zImage
=> tftp 0x63000000 vexpress-v2p-ca9.dtb
=> tftp 0x63008000 rootfs.cpio.gz.u-boot

転送した場所を指定して kernel を起動します。今回は圧縮イメージを使用しているので bootz を使用します。引数は「zImage の配置先」、「rootfs.cpio.gz.u-boot の配置先」、「vexpress-v2p-ca9.dtb の配置先」の順で指定します。

=> bootz 0x62000000 0x63008000 0x63000000
Kernel image @ 0x62000000 [ 0x000000 - 0x774fd8 ]
## Loading init Ramdisk from Legacy Image at 63008000 ...
Image Name:   linaro-image-minimal-initramfs-g
Image Type:   ARM Linux RAMDisk Image (gzip compressed)
Data Size:    8170953 Bytes = 7.8 MiB
Load Address: 00000000
Entry Point:  00000000
Verifying Checksum ... OK
## Flattened Device Tree blob at 63000000
Booting using the fdt blob at 0x63000000
Loading Ramdisk to 67710000, end 67edadc9 ... OK
Loading Device Tree to 67709000, end 6770f963 ... OK

Starting kernel ...

[    0.000000] Booting Linux on physical CPU 0x0
[    0.000000] Linux version 4.13.0-rc4 (kunih@ubuntu) (gcc version 6.3.1 20170404 (Linaro GCC 6.3-2017.05)) #1 SMP Fri Aug 11 10:47:38 JST 2017
[    0.000000] CPU: ARMv7 Processor [410fc090] revision 0 (ARMv7), cr=10c5387d
...
[    3.598945] Freeing unused kernel memory: 2048K
linaro-test [rc=0]#

無事 shell まで起動できました。

[QEMU][boot] U-boot on arm QEMU

QEMU では kernel が直接起動するので bootloader は必要ないのですが、手元に Das U-boot が動作する環境がないので、とりあえず動かした例がないか探していたところ、結構古い記事が多くてトレースできなかったので、最新環境で手元でやり直してみました。

arm ではマシンに versatilepb を使うことが多いのですが、こちらの記事でも言及されている通り、U-boot では versatile が削除されてしまっています。今だと vexpress でやればいい気もするので、とりあえずメモということで qemu のビルドから始めてみます。

QEMU と U-boot のビルドと起動

QEMU の repository から clone してビルド。もちろん package でインストールでもよいです。

$ git clone git://git.qemu.org/qemu.git
$ cd qemu
$ ./configure --target-list=arm-softmmu,aarch64-softmmu
$ make
$ sudo make install

U-boot も同様に最新版をビルド。マシンは vexpress_ca9x4 を指定します。

$ git clone git://git.denx.de/u-boot.git
$ cd u-boot
$ make ARCH=arm CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf- vexpress_ca9x4_defconfig
$ make ARCH=arm CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf-

そして QEMU を起動…あれ何やらエラーが。バイナリが正しく読めない?

$ qemu-system-arm -M vexpress-a9 -nographic -kernel u-boot/u-boot.bin

qemu-system-arm: Trying to execute code outside RAM or ROM at 0x04000000
This usually means one of the following happened:

(1) You told QEMU to execute a kernel for the wrong machine type, and it crashed on startup (eg trying to run a raspberry pi kernel on a versatilepb QEMU machine)
(2) You didn't give QEMU a kernel or BIOS filename at all, and QEMU executed a ROM full of no-op instructions until it fell off the end
(3) Your guest kernel has a bug and crashed by jumping off into nowhere

This is almost always one of the first two, so check your command line and that you are using the right type of kernel for this machine.
If you think option (3) is likely then you can try debugging your guest with the -d debug options; in particular -d guest_errors will cause the log to include a dump of the guest register state at this point.

Execution cannot continue; stopping here.

ELF バイナリを指定したら動きました。何故だろう…

$ qemu-system-arm -M vexpress-a9 -nographic -kernel u-boot/u-boot

U-Boot 2017.07-00001-g13e3ef2 (Aug 13 2017 - 00:26:23 +0900)

DRAM:  128 MiB
WARNING: Caches not enabled
Flash: 128 MiB
MMC:   MMC: 0
*** Warning - bad CRC, using default environment

In:    serial
Out:   serial
Err:   serial
Net:   smc911x-0
Hit any key to stop autoboot:  0
=>

Network を使う

このままの U-boot だと何もできないので network を設定します。QEMU の vexpress モデルは SMC911X NIC をモデル化しているので U-boot でも使えます。当然ですが I/O を経由しない virtio-net は使えません。

QEMU のネットワークは仮想 I/F である tap と bridge を通して host PC の物理 I/F (eth0) に通します。例として以下のように設定します。

$ sudo tunctl -g `id -u`          # tap 作成
Set 'tap0' persistent and owned by gid 1000
$ sudo brctl addbr br12345        # bridge 作成
$ sudo brctl addif br12345 eth0   # host I/F を bridge に参加
$ sudo brctl addif br12345 tap0   # tap を bridge に参加
$ sudo ifconfig tap0 up
$ sudo ifconfig br12345 up

tap0 と eth0 が bridge で接続されたので、それを使用して U-boot を起動します。

$ qemu-system-arm -M vexpress-a9 -nographic -kernel u-boot/u-boot -net nic -net tap,ifname=tap0

自分の環境に合わせて hostPC と target(QEMU) の IP アドレスを設定します。

=> setenv ipaddr 192.168.1.200     # target(QEMU) の IP アドレス
=> setenv serverip 192.168.1.1     # tftp サーバの IP アドレス

ロードするバイナリを tftp サーバにコピーして、ロードするアドレスを指定してメモリに転送します。

=> tftp 0x62000000 image
smc911x: MAC 52:54:00:12:34:56
smc911x: detected LAN9118 controller
smc911x: phy initialized
smc911x: MAC 52:54:00:12:34:56
Using smc911x-0 device
TFTP from server 192.168.1.1; our IP address is 192.168.1.200
Filename 'image'.
Load address: 0x62000000
Loading: #################################################################
         #################################################################
         #################################################################
         #################################################################
         #################################################################
         #################################################################
         #################################################################
         #################################################################
         ##############
         2.7 MiB/s
done
Bytes transferred = 7833916 (77893c hex)

無事転送できました。試し終わったら、先のネットワーク設定の後片付けを忘れずに。

$ sudo ifconfig br12345 down
$ sudo ifconfig tap0 down
$ sudo brctl delif br12345 tap0
$ sudo brctl delif br12345 eth0
$ sudo brctl delbr br12345
$ sudo tunctl -d tap0 

arm64 の場合

では arm64 でも同じことができるかというと、QEMU には arm64 は virt モデルが主流のため vexpress モデルはありません。同様に U-boot は virt モデルには対応していません。つまり arm64 では U-boot が適合するモデルの組み合わせは今のところなさそうです。

後者の virt モデルをちょっと試しに(見よう見まねで) U-boot に追加してみたものの、flash のところでハマったのでやはり簡単ではなさそうです。また、この時も ELF でないと起動しなかったのが気になるところです。

[RPi] Raspberry Pi 3

以前 Raspberri Pi を15か月も待って購入したのですが、なかなかいじる時間がなく、他にも放置してるガジェットがあるので Raspberri Pi 3はいいかなと思ってたのですが、手元に最新環境が扱えるプラットフォームがないのもいまいちなので、遅ればせながら共立電子で購入しました。AC アダプタは定格以上のものを用意しないと不安定になるとのことで、お店推奨の 5V/4A の変換コネクタつきを購入しています。

内蔵のeMMC に書き込みが必要なボードが多い中、micro SDカードで直接立ち上がるのはいろいろ便利です。

まずは動作確認

とりあえず Raspbian で動作確認してみます。公式サイトからのダウンロードは1時間以上かかるので mirror から取得します。

zip ファイルがダウンロードできたら、展開して得られた img ファイルを dd か Windows なら Win32DiskImager などで micro SD カードに書き込みます。遅いカードだとかなり時間が掛かります。

あとは本体に micro SD カードをセットし、HDMI・USBキーボードを挿して、ACアダプタから電源を投入して無事動作が確認できました。簡単すぎる…

中身を少し確認

RPi3 は Broadcom の SoC BCM2837 を搭載していて 1.2GHz の Cortex-A53 4 Core を内蔵していますが、dmesg と uname を見るとやはり kernel も userland も ARMv7 compat mode で動作していました。kernel は現時点の最新 LTS  4.9 を update して使っているようです。

pi@raspberrypi:~ $ dmesg | head
[    0.000000] Booting Linux on physical CPU 0x0
[    0.000000] Linux version 4.9.35-v7+ (dc4@dc4-XPS13-9333) (gcc version 4.9.3 (crosstool-NG crosstool-ng-1.22.0-88-g8460611) ) #1014 SMP Fri Jun 30 14:47:43 BST 2017
[    0.000000] CPU: ARMv7 Processor [410fd034] revision 4 (ARMv7), cr=10c5383d
[    0.000000] CPU: div instructions available: patching division code
...
pi@raspberrypi:~ $ uname -a
Linux raspberrypi 4.9.35-v7+ #1014 SMP Fri Jun 30 14:47:43 BST 2017 armv7l GNU/Linux

Raspbian image は 第一パーティションを FAT32 にして boot blob、kernel image、devicetree blob などを、第二パーティションに ext4 で rootfs を置いています。fdtdump が入っているので、/boot にある dtb ファイルを覗いてデバイスの構成を見ることができます。

pi@raspberrypi:~ $ df -T
Filesystem     Type     1K-blocks    Used Available Use% Mounted on
/dev/root      ext4       7530028 4018864   3144436  57% /
devtmpfs       devtmpfs    468148       0    468148   0% /dev
tmpfs          tmpfs       472756       0    472756   0% /dev/shm
tmpfs          tmpfs       472756    6440    466316   2% /run
tmpfs          tmpfs         5120       4      5116   1% /run/lock
tmpfs          tmpfs       472756       0    472756   0% /sys/fs/cgroup
/dev/mmcblk0p1 vfat         42030   21419     20611  51% /boot
tmpfs          tmpfs        94552       0     94552   0% /run/user/1000
pi@raspberrypi:~ $ fdtdump /boot/bcm2710-rpi-3-b.dtb
/dts-v1/;
...
/memreserve/ 0 0x1000;
/ {
    compatible = "brcm,bcm2837", "brcm,bcm2836";
    model = "Raspberry Pi 3 Model B";
...

電源遮断の罠

最初の起動直後は初期処理を行うのでファイル更新を行います。そのため電源をいきなり切ると rootfs の更新ができていないままになり、次の起動でファイルが壊れたことでデスクトップが起動しなくなります。

特に user の openbox の lxde-pi-rc.xml が壊れるようで、ググるといくつか同じような質問をしているのが見つかります。当たり前ですが電源切る前の sync と shutdown コマンドは忘れずに。

[Linux] User I/O

今更ながら User I/O (UIO) を使ってみました.UIO は 2.6.23-rc1 で kernel に merge された機能で,ドライバモジュールを書くことなくハードウェア資源を userland からアクセスできる手段を提供します.

I/O にアクセスするだけなら /dev/mem を mmap すれば実現できますが,アドレスが制限されないため安全性が担保できません.UIO では予め使用する領域を定義するとともに,割込み応答もできるようになります.

UIO を利用可能にするには,下記の1行目の CONFIG を有効にします.さらに 2行目の CONFIG を有効にすることで,platform driver として扱うことができ,device tree で I/O 領域や割込みが定義できるようになります(もちろん CONFIG_OF=y が必要).CONFIG_UIO_PDRV_GENIRQ を ”m” にしているのは,ユーザが I/O を使い始めるタイミングを userland から制御できるようにするためです.

CONFIG_UIO=y
CONFIG_UIO_PDRV_GENIRQ=m

device tree には次のようなノードを追加します.reg には使用したい I/O アドレスを page 単位で指定します.これは page 単位(default は 4KB)である必要があります.この領域は例では2つ定義していますが,ノードごとに 5 つまで指定できます.interrupts はノードに対して割込み番号を 1つだけ指定できます.
※ interrupts の数値の意味はアーキテクチャにより異なります.ARM GIC では 0 は SPI, 100 は物理割込み番号の32を引いた値,4はレベル割込みを表します.

/{
        uio {
                compatible = "generic-uio", "myuio";
                reg = <0x40000000 0x1000>,<0x41000000 0x1000>;
                interrupts = <0 100 4>;
        };
};

UIO のノードを1つ作成すると,対応するデバイスファイル(/dev/uioX)が1つできます.マイナー番号は昇順に振られるため,複数のノードを作成するとuio0から順にデバイスファイルが対応付けられます.それぞれのデバイスファイルを制御することでノードごとに定義した割込みを同時に扱うことができます.

ターゲット上では modprobe (insmod) でドライバを有効にしますが,その際に引数に devicetree で定義した compatible 文字列を指定します.これで定義した I/O 領域や割込みが取り込まれ,デバイスファイルが作成されます.

# modprobe uio_pdrv_genirq.ko of_id=myuio

ユーザプログラムでは通常のドライバと同様にデバイスファイルを open した後,mmap すれば device tree で定義した I/O 領域へのアクセスが可能になります.mmap で指定する offset は page 単位で連続した相対アドレスです.例では,上記 0x40000000 が base1,0x41000000 が base2 に にマップされます.

void main()
{
        int fd;
        void __iomem *base1, *base2;

        fd = open("/dev/uio0", O_RDWR);
        base1 = mmap(NULL, PAGE_SIZE, PROT_READ|PROT_WRITE, MAP_PRIVATE, fd, 0);
        base2 = mmap(NULL, PAGE_SIZE, PROT_READ|PROT_WRITE, MAP_PRIVATE, fd, 1 * PAGE_SIZE);
        ...
        munmap(base2);
        munmap(base1);
        close(fd);
}

割込みを待つ場合は,まず割込みを許可するためにデバイスファイルに 1 を書き込みます.その後,read() を呼ぶと割込みが入るまでブロックします.再度割込みを待つ場合は再びデバイスファイルに 1 を書いて割込みを許可します.タイムアウトを追加したい場合は,ppoll() で待って read() で読み出す処理を行うことで実現できます.

void main()
{
        int fd, irqsw, count;
        fd = open("/dev/uio0", O_RDWR);

        irqsw = 1;
        write(fd, &irqsw, sizeof(irqsw)); /* enable interrupt */
        ...
        read(fd, &count, sizeof(count)); /* wait for interrupt */
        ...
        irqsw = 0;
        write(fd, &irqsw, sizeof(irqsw));  /* disable interrupt */
        close(fd);
}

ドライバを作る前に I/O を直接操作して動作を確かめたい場合や,ドライバを作るまでもないHardware制御を行いたいときに,UIO を使うと手軽に実現できます.また,諸事情により公開が難しい Proprietary Driver を作成せざるを得ない場合でも,UIO を使うことで  userland 上に実現することが可能です.

Open Source Summit Japan 2017

1年ぶりの更新になります.
先日有明のコンファレンスセンターにて開催された Open Source Summit Japan に参加してきました.このイベントは初参加で Community への貢献もまだまだの中で,全セッション英語とあってまずは雰囲気を知る機会で2日間参加しました.

最近は LinuxCon と ContainerCon と CloudOpen の統合,Automotive Linux Summit との共催で講演が多岐に渡って行われる反面,深い技術トピックが少なかったのが技術者・開発者としては寂しいところです.組込み Linux の開発関連は Automotive 側に話題が多く,OSSJ は Cloud や Server,Service の話題が多かったように思います.

KeyNote を一通り聞いた後,以下のセッション(とこの他いくつか)を聴講しました.

  • Building Debian-Based Products: Experiences in Collaboration
    • Debian の OE レシピと Image 作成のシステムを統合した話
  • Understanding SCHED_DEADLINE
    • EDF アルゴリズム(最もdeadlineが近いタスクに割り当てる)に基づくスケジューリングの話
  • Taking ARM Servers Mainstream: Designing, Building, and Deploying in the Real World
    • ARMv8 サーバにおける RHEL のソフトウェア・ハードウェア要件の話
  • Building, Deploying and Testing an Industrial Linux Platform
    • 工業向け Linux の長期間継続的なメンテナンス・テストの話
  • Adding new CPU architecture to QEMU
    • QEMU に新アーキを追加する際の translation の仕組みの話
  • Bare Metal Container
    • 遠隔サーバ上の OS 非依存のコンテナを扱うシステムの話

セッションの間はドリンクやクッキー,フルーツなどが自由に楽しめました.日本開催ということでお約束の抹茶ケーキやおかきセットなどもありました.ランチは自力解決とはいえ,有明という立地上選択肢が少なく参加者は大変だったかもしれません.

参加期間中,Community の方々に交じってランチや夕食に 同席させていただいたのですが,せっかくの機会なのに英語力の無さでいろいろ申し訳ない応答になったのが無念でした…

[Linux] arm と arm64

64bit ARMプロセッサ

携帯機器のほぼ標準となっている ARM プロセッサは、32-bit の v7 アーキテクチャから 64-bit の v8 アーキテクチャに移行しつつあります。とはいえまだソフトウェアは v7 アーキテクチャ向けに書かれたものばかりですので、いきなり移行することはできません。そのため、32-bit と 64-bit を保護レベルの切り替え時にモード切替することができるようになっていて、互換性を保つように設計されています。x86 プロセッサも全く新しい IA-64 アーキテクチャを発表したものの、後で AMD が amd64 アーキテクチャで 32-bit と互換性を保つ技術を導入し、Intel が同調した経緯があります。

boot 時は 64-bit(AArch64) で起動した場合、EL1(OSレベル)やEL0(userレベル) に切り替える際に 32-bit(AArch32) モードを選択することができます。

Linux の互換性

Linux では ARMv7 までのアーキテクチャを「arm」、ARMv8 アーキテクチャを「arm64」と別々のアーキテクチャで扱っています。一方 gcc ではARMの呼び名に合わせてそれぞれ「AArch32」「AArch64」と区別しているので注意が必要です。

arm64 kernel  では、CONFIG_COMPAT を有効にすることで  userland で AArch32 ELF バイナリを起動したときに AArch32 モードに切り替えて実行できるようになっています。arch/arm64/Kconfig には以下のように説明書きがあり、モードの切り替えだけでなく syscall や VFP サポートなどの基本的な機能もアーキテクチャの差異をを超えてサポートされています。

config COMPAT
	bool "Kernel support for 32-bit EL0"
	depends on ARM64_4K_PAGES || EXPERT
	select COMPAT_BINFMT_ELF
	select HAVE_UID16
	select OLD_SIGSUSPEND3
	select COMPAT_OLD_SIGACTION
	help
	  This option enables support for a 32-bit EL0 running under a 64-bit
	  kernel at EL1. AArch32-specific components such as system calls,
	  the user helper functions, VFP support and the ptrace interface are
	  handled appropriately by the kernel.

	  If you use a page size other than 4KB (i.e, 16KB or 64KB), please be aware
	  that you will only be able to execute AArch32 binaries that were compiled
	  with page size aligned segments.

	  If you want to execute 32-bit userspace applications, say Y.

AArch32 ELF バイナリを arm64 kernel で動かすには、次に示すようにいろいろ準備や注意が必要になってきます。

shared library の対応

単純に AArch32 ELF だけの root filesystem であれば何もする必要はないのですが、AArch64 ELF と共存する環境を作る場合は両方の shared library を用意する必要があります。debian などの distro であれば設定で解決できますが、ここでは構成を知るためにとりあえず手動で作る場合を考えてみます。

まず AArch64 ELF の sysroot (sysroot64/) を基準に sysroot をコピーし、AArch32 ELF の sysroot (sysroot32/) からライブラリをコピーします。

$ cp -pr sysroot64         sysroot
$ cp -pr sysroot32/lib     sysroot/lib32
$ cp -pr sysroot32/usr/lib sysroot/usr/lib32

kernel からプロセスとして ELF バイナリを起動する際に、依存関係のあるライブラリは共有ライブラリをリンクします。
その際に動的リンカ(ld.so)が呼び出されますが、このリンカを ELF のアーキテクチャごとに用意しておくことで、マルチアーキテクチャに対応できます。上記の例の場合、AArch32 ELF のローダを /lib に置きます。/lib にはもちろん AArch64 ELF ローダもあります。

$ cp sysroot32/lib/ld-linux-armhf.so.3 sysroot/lib
$ ls -1 sysroot/lib/ld*
ld-2.23.so
ld-linux-armhf.so.3
ld-linux-aarch64.so.1

ターゲット環境ではライブラリの検索パスを指定します。AArch64 ELF と AArch32 ELF の両方のパスを指定しておけば、実行時に自動的に判別して検索します。

# export LD_LIBRARY_PATH=/lib:/usr/lib:/lib32:/usr/lib32

これで arm64 kernel で AArch32 ELF バイナリを起動することができます。

 

device driver の対応

ioctl() は通常 struct file_operations の .unlocked_ioctl メンバに登録した関数を呼び出しますが、異なるアーキテクチャの場合は .compat_ioctl に登録した関数が呼ばれます。この時、引数が 32bit 定義でやってくるので .compat_ioctl 登録関数にて引数や戻り値を変換する必要があります。struct file_operations は linux/fs.h に定義されています。

struct file_operations {
        :
        long (*unlocked_ioctl) (struct file *, unsigned int, unsigned long);
        long (*compat_ioctl) (struct file *, unsigned int, unsigned long);
        :
};

また、ARM Linux が ILP32 (int/long/pointerが32bit) である一方、arm64 Linux は LP64 (long/pointerが64bit、intが32bit) を採用しています。そのため、sizeof で得られる型のサイズがアーキテクチャによって変化します。これを引数に使うと意味が変わってきます。
特に 第二引数の cmd は マクロ _IOC() を使って定義しますが、定義内に sizeof() を使うためそのままでは 値が変わってしまうことになります。

#define _IOC(dir,type,nr,size) \
        (((dir)  << _IOC_DIRSHIFT) | \
         ((type) << _IOC_TYPESHIFT) | \
         ((nr)   << _IOC_NRSHIFT) | \
         ((size) << _IOC_SIZESHIFT))

#define _IOC_TYPECHECK(t) (sizeof(t))

例えば以下の定義を kernel/user で共有した場合、

#define HOGE_IOC_TEST    _IOC(_IOC_WRITE, 'H', 0x00, long) 

アプリ側からみた HOGE_IOC_TEST は 0x40044800 で ドライバ側から見た HOGE_IOC_TEST は 0x40084800 になり、cmd を正しく判別できなくなるため、型サイズが変わる引数を避けるか .compat_ioctl で cmd をマスクして判別する必要があります。

また、第三引数を構造体へのポインタとする場合にも注意が必要になります。構造体のメンバのメモリ位置やサイズもアプリとドライバで変わってしまう上、packed struct 属性を付けたりすると変換が複雑になってしまうため、避ける必要があります。

[Linux] device tree について

2.6.32 から 4.4 へ

Linux driver の参考書は kernel 2.6.32 辺りの知識で書かれていて,組込みの世界ではあまり新しい kernel を積極的に取り込まないこともあって,私がいる部門でも長い間内部で保持されてきた kernel を使って driver を書いていたのですが,独自の分岐で進化した kernel を maintainance する人材もいなくなり,昨年からいろいろ一新する上で kernel も vanilla kernel に追従することになりました.

昨今では自社向けソースをすべて内部で抱え続けるのも難しく,外に公開していける部分は OpenSource に貢献して協力関係を築いていくのも至極当然の流れでしょう.何故今までそうして来なかったのか不思議なくらいですが…という前置きはおいといて,そんな 2.6 時代の知識から突然最新 LTS の v4.4 の開発手法や kernel API に刷新する必要が出てきたわけです.

device tree とは

最もインパクトがあったのは device tree の導入でした.eLinuxの解説に記載がありますが,OpenFirmware の ePAPR 仕様で規定されているものを元にしたデバイス固有情報を記述するフォーマットです.Linux 以外にも FreeBSD や U-boot でも採用されていて,標準化の動きがあります.
(OpenFirmware とか PAPR と聞くと Mac 互換機の CHRP や BeOS を思い出してしまうのですが…)

実際の記述方法は devicetree.org の文法解説や Linux source の Documentation/devicetree/bindings/ に記載されていますが,実際の arch/arm/boot/dts/ 以下の各 SoC 向けソースが参考になります.

device tree の driver への取り込み方

device tree を導入すると,driver 側の記述の仕方も変わってきます.元々 module_init() や module_exit() で最初と最後を書くだけだったのが,device tree から情報を取り込む操作が必要になるわけですが,その操作は platform driver の framework がベースになります.

例えば,以下のように device tree に foo driver の記述を行うとします.識別文字列の他に,使いたいレジスタアドレスとサイズが書かれています.

/ {
    foo {
        compatible = "hoge,foo";
        reg = <0x12340000 0x200>;
    };
}; 

platform driver は,起動関数・終了関数・識別テーブルを定義します.

static struct platform_driver foo_driver = { 
    .probe  = foo_probe,
    .remove = foo_remove,
    .driver = { 
        .name = "foodriver",
        .of_match_table = foo_of_match,
    },
};
module_platform_driver(foo_driver);

識別テーブルの方は compatible で device tree に適合する識別文字列を定義します.

static const struct of_device_id foo_of_match[] = { 
    { .compatible = "hoge,foo",},
    {},
};
MODULE_DEVICE_TABLE(of, foo_of_match);

このように定義しておいて,起動関数 foo_probe() では device tree の情報を取り込んで,実際の動作に反映させていきます.

static void __init foo_probe(struct platform_device *pdev)
{
    sturce resource *res = platform_get_resource(pdev, IORESOURCE_MEM, 0);
    void __iomem *vptr = devm_ioremap_resource(res);
    :
}

この他にも device tree 情報を取り込む platform 関数や of 関数はたくさんあり,方法もさまざまです.
一つサンプルを作って自分なりに確立しておくのが良いかと思います.